あなたの残したタカラモノ〜一粒の雫〜

不意に後ろから肩を叩かれて、振り返った。


「ああー!やっぱり蓮だっ」


派手に露出した服装に、短いスカート。キャバ嬢らしき女性が立っていた。



名前はー……。誰だっけ?


蓮は頭を掻き、おどけながら、

「あー?君、だれ?」

「リカだよっリカ!もう忘れたの〜?」

「冗談。忘れるわけないじゃん」


すっかり忘れてたけどな……。


リカは、ちらりと蓮の持っているコンビニ袋を目に留めた。───そして少し上目遣いで蓮を見つめる。


「ねぇっまたお弁当?ウチにおいでよ!今日ヒマなんだ〜」


…なに、ヤらしてくれんの?


そう問い掛けなくとも、答えは決まっている。



俺も体目的。こいつらも同じ。
決してお互い心は求めない。


求めて何になる?心の繋がり?
馬鹿馬鹿しい。

どうせいつかは飽きてきて、その開いた心の空間に他の奴を求める。



裏切り、裏切られて……。


意味ないじゃん。だったら最初からヤるだけの関係でいい。


こんな俺は…生きている意味なんてないのかな……?




───この頃の俺はそう思っていた。

けれど……

間違っていることに気づいたんだ。

あいつに出逢えたから───────
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