ボーダーライン。Neo【中】
◇ ♀
「それにしても、結構思い切ったね〜?」
ひし形にバランスを取ったあたしのショートボブを見て、美波は笑った。
「そうかな?」
あたしはラフにカールした襟足にそっと指先で触れる。
言われてみれば、確かにそうかもしれない。
数年を掛けて胸元まで伸ばしていた髪を、バッサリと切ったのだ。
慎ちゃんがロングを好きだと言っていたから、この先も切る事は無いと思っていたけど、もう別れたのだから関係ない。
昨日の事だ。電車の中でふと切ろうと思い立った。
「でもサチは小さいし華奢だから、短くても可愛いよね」
「……あはは。ありがとう」
照れ笑いの途中で店員さんがアイスティーを運んでくれる。
美波と四ヶ月ぶりに会い、駅近くのカフェでお茶をしていた。
今月の結婚式が急に無くなった事を分かる範囲で招待客に報せると、直ぐさま美波から連絡を受けたのだ。
あたしの近況を心配して直ぐに会って話したいと言われたが、あたしは青あざの出来た無様な顔を見て、数日だけ先延ばしにした。それが今日だ。