ボーダーライン。Neo【中】

 膝から力が抜けていく感覚がして、思わずしゃがみ込む。

 とりあえず耳障りな報道番組を消し、再度スマホと向き合った。

 雇用主の三高社長に謝罪の電話だけは入れておかないと、と思い、携帯を耳に当てる。

 コール音を数えて十回。事態の対応に追われて忙しいのか、なかなか社長へは繋がらない。

 諦めて回線を切り、おもむろに立ち上がる。好奇心からマンションのエントランスが見下ろせる窓際まで進んだ。

 指先でそっとカーテンを引くと、カメラを抱えた報道陣の群れが確認出来た。

 ーーだよなぁ~。

 顔をしかめ、直ぐさまカーテンに背中を向けた。

 多分笹峰さんの自宅や事務所も同じ結果になっているだろう。

「くそっ、パパラッチめ!」

 苦々しく眉を寄せ、悪態をつくのが関の山だった。

 ***

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