ボーダーライン。Neo【中】
八月のお盆には実家に連れて帰って来なさい、と言われ、曖昧な返事で電話を切った。
上河さんと会った事や、母とのやり取りで気持ちは見事に落ち込んでいた。
あたしの知らない所で檜に近付いているあの子を思うと、お気に入りのネックレスに対して嫌なイメージを持ってしまう。
あの子から直接買ったんだと思うと、腹立たしくて、あたしはネックレスを外した。
指輪もそうだ。
これは別のお店で買ったはずだが、上河さんの言葉を思い出すと憂鬱に支配される。
あたしは外したアクセサリーをとりあえずは箱に仕舞った。
暗く、ドロドロとした嫉妬心は拭えなかったが、気持ちを切り替えようと部屋を掃除して、晩御飯の支度に勤しんだ。
夜には檜が逢いに来てくれる。
彼に逢えば、この気持ちを鎮める事が出来る、そう思いながら。
「え。ワンマンライブ?」
「そ。八月の二十四、二十五の二日間なんだけどさ。なんか既に社長にハコを押さえられてて。これから集客アップに忙しくなりそうなんだ」
あたしは彼と共に晩御飯を食べながら、箸を止めた。