ビッチは夜を蹴り飛ばす。
 


 やがていないのかな、と諦めて足音が去って行くと何度も繰り返したキスで誤魔化した吐息が漏れ、は、って息をついて涙目で見たら硯くんが軽く笑った。

 少し体がずれてつぷん、と更に中に挿入るからうぁ、と声を漏らして壁にもたれるとそのまま軽く揺すられる。


「も、ぁっ…すず、く」

「なに」
「…っいじ、わる」

「どっちが?」

 
 え、と思うのにそのまま淡い動きを繰り返すだけで強い波には乗れなくて自分で動いて、と言われ訳もわからず快楽を追っかけていたらひくっと跳ねて脱力した。ずる、と壁伝いに座り込んで服も見た目もだらしない姿でいたらあーあ、って相変わらず着乱れゼロの硯くんが立ったまま低く笑う。






 

















「バレちゃえば良かったのに」




 ね、って笑う瞳に含まれてる色を見て思うけど硯くん。あなた、もしかして自分の感情の意味もまともにわかってないんじゃないの。









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