ビッチは夜を蹴り飛ばす。

 
「な、なめて…きすして、それで、ふっ」


 キスで押し倒されてカーペットの上に寝転んだらパーカー姿の硯くんが覆い被さってくる。可愛い見た目なのに降り注がれるキスは見た目に反して大人で、そのギャップに酔ってたらちゅ、と返す間もない短いキスを繰り返しながらあたしのシャツの中に手が潜り込んできた。

 そのままく、って服を持ち上げれて胸の辺りからお腹のあたりまで入念に唇が降ってきて、くすぐったさに身を捩ってたら、ショートパンツのチャックを歯で咥えた硯くんがジ、とそのままファスナーを降ろして、足からズボンと、ショーツまで剥ぎ取った。


「え、ぁ、ゃ、なにっ」

「なめる」
「まって!」
「さっき舐めてって言った」

「それは、っぁ!」


 そこのことじゃない、って言う間もなく入り口をぺろ、と舐められて身を捩ったらしばらく焦らすようにしてからくちゅ、と舌が挿入ってきた。

 足の爪先から頭のてっぺんまで電流が駆け抜けて、快感に抗うためにフローリングを蹴ったらすぐに濡れた音が響き始めて、わざと音を立てるような吸い方に頭が痺れて何も考えられなくなる。


「ぃやっ…ぁっ、ゃだ、ぁっぁっ、はぁ、」

「次々あふれてくる」

「んっ、…ずりくんが舐める、からぁ…!」

「鳴が善がるからでしょ」


 気持ちよさそうに、ってくすくす笑いながら舌で舐めていた場所にくちゅん、って指を差し込んであたしが飛び跳ねたら、満足したように何度か抜き差しを繰り返されてぷつん、と一度弾けた。

 絡み付いたそこから指を抜いて、恥辱に震えながら小刻みにひくひく痙攣してるあたしを見下ろす硯くんがふいにフードを後ろに降ろしてその指でつ、とあたしの頬を撫でる。

 自分の愛液がつくなんてさいあくだ、と思ってたらのしかかってきた体に、声に、耳を犯された。


「…命令して」
「…、っ…」

「ちゃんと、どうして欲しいか」


 躾けるんでしょ、とまた嗜虐心満載の瞳が光るから、その目に支配されて誘導される。…どっちが命令なんだろう。


< 192 / 209 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop