ビッチは夜を蹴り飛ばす。


 歯でタンクトップをまくられて、それがブラ付きのやつだったから片胸だけ露わになる。それが恥ずかしくて手で隠そうとしたら止められて、焦らすように先から離れた場所から舐められて甘ったるい声が出る。もう片方の露出してない方も服の上から丁寧に嬲られて、どんどん息が上がってく。


「…ぁ、っん」


 キスをしながら下の手がすり、と優しく、下着越しにあたしの上を這う。その感覚がもどかしくてむず痒くて、あんまり甘い感覚に上せたみたいな甘ったるい吐息を漏らしていたら瞬間、お腹の辺りまで上り詰めた手のひらに覆うように下腹部に触れられて、そのままつぷん、と指が中に入ってきた。

 痛くなくて、気持ち悪くもないけど、でも順番に差し込んだ指が絶妙な塩梅で動くたび、きゅう、って硯くんに抱きついて離さないようにする。そのまま下を向いてびく、と跳ねてしまったら、あたしの吐息に紛れて動いていた指もあっさりと引き抜かれた。


「…っん、ぁ」


 快楽の喪失に上せた目で逃げ出した指を追ったら、硯くんがその濡れた指を伏し目がちに眺めたあと、あろうことか、

 ぺろ、って舐めた。


「ゃだっ、舐めないで!」
「うん」
「うんじゃな…や、待っ———ぅあっ」


 押し倒されて一思いに中に押し入ってきた途端一際甲高い嬌声が漏れたのに、それじゃ納得いかないみたいに容赦なく律動する。
 強く、時に柔く、達しそうになれば抜かれそうな浅いとこまで引き抜かれてまだって出し惜しみする絶妙な緩急に全身が甘く痺れてぞくぞくする。

 真昼間からこんなことしてるのにその快楽が心地良くて、ぞくぞくって背中が震えてどんどん胸を突き出すようにのけぞって、じわって潤んだ涙目で硯くん、って吐息で呼んだら目だけで見下げて軽く鼻で笑われた。


「鳴、感じてるとこ悪いんだけど言いたいことあるから聞いて」

「…っ、…、っ」

「………俺にめちゃくちゃ犯されてんのに服は全然乱れてないの逆にエロい」


 けど下はぐっちゃぐちゃ、って服をちゃんと着た横腹の辺りを掴んだ親指でさすっては敢えて口に出して言われてやだ、って身を捩ったら硯くんが覆いかぶさって来た。落ち着いた吐息が耳元に届いてそれだけで壊れそうだったのに、そのまま耳元で説明も出来ないようなやらしい言葉攻めを受けて、ゃ、やだ、って言うのに全然やめてくれなくて。

 訳もわからない間に電撃が全身を駆け抜けて一気にぱちん、と弾けとんだ。


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