裏切り姫と恋の病
ソファから立ち上がって、帰ろうとした瞬間。
葛西さんはテーブルの上に投げて置いてあったバイクの鍵を手に取るが、すぐにポケットにしまった。
「街まで送るって言いたいところだが。
今日はもう遅いし、泊まってけ」
「でも、」
「いい、気にするな。ここまで連れてきたのは俺だ。
どうせチームの奴らも、午前中は昼まで寝てるか、バイトか、学校かで、ここに来ないだろうし。」
「……」
「安心していいぞー、俺だけだ」
だからこそ不安でしかないんですけど。
まあ……でも。
葛西さんって、悪い人じゃないし、それにちょっと失礼だし変わってるけど
……嘘は、つかない気がする。
なんだろう。
会ったばかりなのに、信じられる、不思議な人。