ボーダーライン。Neo【下】
『そうなんですか! Hinokiさんが順序を間違えるのって、なんか意外です』
「アハハ……実は結構小心者なんで、肝心な事を後回しにしちゃう性格なんですよ」
少しふざけて言うと、笹峰さんは電話の向こうで笑っていた。彼女らしい柔らかな笑みを想像し、僕は記事の内容に触れた。
「あの、また話を戻して悪いんですけど。週刊誌に書いてあったの読んで、ちょっと恥ずかしくなりましたよ」
『え? どうしてですか?』
「笹峰さん。俺の事買いかぶり過ぎですよ。俺はそんなに真面目じゃないし、優しくもない」
『……私から見たHinokiさんをありのままに話しただけです。
それに、あの話で重要なのは、優しさが時に残酷だって事ですよ?』
「ざ、残酷ですか?」
ハハ、と思わず苦笑がもれた。
『年下が生意気を言いますけど。Hinokiさんに忠告しておきます』
「……はい」
『今後、Hinokiさんに対して好意的な女の子に、期待を持たせるような事は言っちゃ駄目ですよ?』
「はい。肝に命じておきます」
『ふふ…っ』
彼女は時に人を信じ過ぎてしまうような危なっかしさを見せるけれど、強くたくましい女優なのだろうな。
『それじゃあ、また。お仕事でご一緒した際は宜しくお願いします』
「ええ、こちらこそ」