意地悪執事はお嬢様を独占したい
そう自分で口にするだけでも胸がズキンと痛む。
さらに溜まっていく涙をおさえようと俯いた。
「してませんけど……」
「嘘だ、見たもん……っ」
「……どこで見ました?」
「え…人がいっぱいいるところで、わ、私は、一条の後ろにいた…っ」
うーん、と考え込む一条。
……ほんとに、してないのかな?
「…あ。もしかして……桃井の目の近くにまつ毛がついてたので取ってあげたとき……とか?」
「…へ?ま、まつ毛……?」
「はい。近くじゃないと見えないので角度的にキスしてたように見えた、とか」
……ま、まつ毛?それ、ほんと?
キスしてない、の?
そのことがわかり、私はヘナヘナとベンチに座った。