暗闇の先に…

聞き間違いかと思った


「……え?」



ゆるゆると顔を上げて彼女を見る


冷く、鋭い視線と交わった


「だーかーらぁ、死ねっつってんの」



冗談にしては、目が本気だ



彼女の目に捉えられて、視線を外せず息をのんだ




「……な〜んて。流石に、そこまでは鬼じゃないから…せめて簡単に会えない所に行って」


そう言うと、彼女は立ち上がり私に背を向け歩き出した


「でも、それが出来ないなら……本当に消えて」


菜摘は足を止め振り返えらず、私にそう言った



食材を冷蔵庫に入れ、ベッドに座り窓から見える海をボーと眺めていた



『死んで』


多分、これは彼女の本当の気持ちなんだろう




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