暗闇の先に…


仕事と学校が始まり、忙しい日々が戻ってきた




でも、慣れた仕事で失敗したり…学校の授業も頭に入ってこない





ここ数日、ご飯も食べる気にもなれず、せっかく買った食材は使う事が出来ずにいた




その代わり、夜になると海辺へ行く時間が多くなった  


冷たい夜風が頬を撫でて行く


いつもの様に砂浜に腰を下ろし、波の音を聞きながら海を眺めていた



まるで呑み込まれそうな真っ暗な夜の海


ずっと見ていると、引き込まれそうになる


『あんたなんか生まれてこなければよかったのに』



木霊するかのように、ずっと耳の奥に残っている


「ほんと……何で生まれてきたんだろ…」


菜摘との再会から3日、この短い期間で私の存在意義がわからなくなっていた



このまま消えてもいいと思える程に




ポツリと口にした言葉は、誰に聞かれるわけでもなく暗い海へ消えていった



どのくらい時間が経ったのか…そろそろ寝ないと明日に響くから砂を払って立ち上がった

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