暗闇の先に…
「はぁ……はぁ……」
項垂れる様に下を向いてると、近づいてきた菜摘が私の髪の毛を掴み強制的に上を向かせられる
「まだ、お楽しみは これからよ」
「一つ…聞かせて……」
私は菜摘から後ろにいる義姉へと視線を移した
「何で、こんな事するの?私……何かした?」
すると彼氏に寄り添っていた義姉が、目の前まで来ると、怒りが篭った表情で私を見下ろす
「何かしたですって?父親は誰のせいで刑務所に入ったと思ってんの?!」
私はハッとして目を見開いた
「問題はその後よ!あの父親が捕まったせいで私が周りからどんな目で見られてきたか、あんたに分かる?そりゃあ、逃げたあんたには想像もつかないでしょうけど」
確かに、あの後どうなったかなんて知らない
義姉が祖母に引き取られたって知ったのも随分と後の事だったから
「おばあちゃんに引き取られたけどね…近所の人達や全く知らない人達から、毎日毎日嫌がらせの電話やビラを家の外壁に貼られ、終いには石やゴミ、ガラス瓶が家の中に投げ込まれる」
私は義姉から目を背けた
「その後、おばあちゃんは自殺したよ。私を置いてね。そんなおばあちゃんにも腹が立ったわ。それから家に居たくなくて夜出歩くようになった…そして順平と会って今の私がいる。元を正せば、あんたが原因なのよ!」
そんな事があったなんて知らなかった…