子連れシンデレラ(1)~最初で最後の恋~
プロローグ
湾岸沿いにある東京ベイランド。
インバウント特需で賑わう都会のリゾートは大手高級ホテルが林立していた。
「ヘブンズホテル・ベイ東京」もその一つ。

地上二十階、地下三階の客室千室の巨大ホテル。
ロビーは三階まで吹き抜けで、外国人観光客を意識した和を基調とした広々としたモダンな空間が広がっていた。

私は従業員入り口からホテルの中に入って行く。
バックヤードではホテルの様々な仕事に従事する人達とすれ違った。

私はホテルのハウスキーピングとして働いていた。

名前は阿川凛香(アガワリンカ)二十八歳。

四歳の男の子を持つシングルマザー。

父親は沖縄の離島・天空島で知り合った男性。

彼とはその後一度も会っていない。

私の方が彼を利用した。
亡くなった婚約者・拓郎に顔が瓜二つだったから・・・

< 1 / 119 >

この作品をシェア

pagetop