子連れシンデレラ(1)~最初で最後の恋~
私達の衣装選びの後は、玲也が子供用のタキシードを試着。
三人分の衣装を決め、最上階のフレンチレストラン『エルミタージュ』のディナーコースを食べる。

「沖縄は明日にでも梅雨明けするそうだ」

「梅雨が明けても・・・次は台風シーズンですよ」

「そうだな・・・でも、今の所、週間天気予報では晴れの日が続いている」

「良かった・・・挙式日は晴れそうですね・・・」

「あぁ、でも、日取り的に満月島には行けないけど・・・許してくれ」

「柊也さん・・・」

「三人で満月島に行くのは別の機会にしよう・・・」

玲也は私達の会話には目も暮れず、お子様ランチを夢中で食べていた。

「君の母親には事後報告になるが・・・いつが空いてる??」

「・・・母とは何だか今、ギクシャクしてて・・・」

柊也さんと結婚したコトは報告していなかった。

「そっか・・・でも、母一人子一人だったんだろ??」

「今・・・母は内縁関係にある男性と同棲してて・・・
その人が大の子供嫌いで・・・
最初はそれを知らず、玲也を預けたら、怪我をさせられて・・・」

「何だって??」

柊也さんの顔色が変わった。

「何処を怪我させられたんだ??」

「玲也、おじちゃんに怪我させられたオデコ、見せてあげて・・・」

「いいよ・・・」

玲也は前髪を上げて、柊也さんに傷痕を見せた。

「額をテーブルの角のぶつけられて…二針縫った言うか・・・」

「その怪我だけか??他にも怪我させられてないのか??」

「はい・・・一度だけです。それ以来、母も男性が居ない時しか、預かってくれなくなりました」

「子供に暴力を振るうなんて・・・最低な男だ・・・裏を返せば・・・俺が君達を五年も放置したのがそもそも元凶。
本当に胸が痛む。そんな男と同棲している以上は・・・こっちから君の母親に連絡する必要はないな」

「柊也さん…ゴメンなさい」

「何故、君が謝る…悪いのは俺だ。
でも、これからは君と玲也は俺が守る」

「甘えていいんですか?」

「勿論。うんと甘えてくれ・・・凛香」


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