子連れシンデレラ(1)~最初で最後の恋~
リネン室に行って・・・頭の中で仕事の段取りを決めながら歩いていると向こうから滅多にお目にかからない筒見柊也(ツツミシュウヤ)社長が藤崎支配人と話をしながら歩いて来た。
皆、足を止めて、筒見社長に頭を下げる。

私も足を止め、頭を下げた。
彼は「筒見リゾートマネジメント」の代表取締役。
三十一歳の若さで、社長の椅子に就いた。
先代の社長の妾の子で、色々と一族たちと揉め、マスコミにも騒がられ、一躍有名になり、それが功を奏し、『ヘブンズホテル』は注目された。
プライベートでは浮いた噂もなく、ストイックに仕事をこなしていた。


彼は私達従業員には目も暮れず、通り過ぎていく。

私は彼の顔に目が離せなかった・・・

サラサラした黒髪。
鼻筋が通り、美麗の顔だちをしていた。
切れ長の瞳はとても理知的。

百八十センチほどの長身に高級感漂う彼のスタイルに合わせたオーダーメイドスーツ。

自分に似た人間は三人居ると言うけど。

拓郎に似た人間は彼で二人目。

髪の色や雰囲気が違うけど、顔は瓜二つ。

拓郎に似てると言うよりも天空島で出逢った玲斗(レイト)さんに似ていた。

今日は運がついている。

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