子連れシンデレラ(1)~最初で最後の恋~
小森君はドアを開けて、私を中に入れ、強引に突き倒した。

「小森君・・・貴方のキモチは知っていた。貴方の優しさに甘えていた・・・でも、貴方のキモチには応えられない」

「どうして・・・そうやって死んだ男の顔を追うんだ?
筒見社長と付き合ってるのだって・・・拓郎と同じ顔だからだろ??いい加減、忘れろよ!大体、社長が子持ちのお前をマジで相手すると思ってるのか?」

小森さんは立ち上がろうとする私のカラダの上に乗り掛かって来た。

「俺はお前がスキなんだ・・・阿川」

渾身の力で押し返そうとするが、彼の力に敵わない。

「何をしているんですか!!」

車に残っていたはずの黒沼さんが小森君のTシャツの後ろ首を引っ張り上げた。

「お前…誰だ!?」

「社長の秘書の黒沼です」

黒沼さんは小森君の私のカラダから引き上げて、外に追い出した。

「これ以上、彼女に危害を加えるようなら、警察を呼びますよ・・・」

「チッ」
小森君は黒沼さんを睨みつけながら、舌打ちして退散する。
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