子連れシンデレラ(1)~最初で最後の恋~
待ち伏せ
アパート近くのタイムズに停車。

「すいません・・・此処で待っていてくれますか?」

「一緒に行きますよ・・・」

「一人で大丈夫です・・・」

「しかし・・・」

「ほんの十分位で終わりますから・・・」

私は黒沼さんを車内に残して、一人で傘を差して部屋に向かった。

「!?」

私の部屋の前には人影が見えた。

「小森…君!?」

「何だ?阿川お前・・・」

彼は着ているTシャツやズボンは濡れていて、瞳は焦点が定まってなかった。

「小森君貴方…酔ってる??」

「あの筒見社長と一緒だったのか?」

「ゴメンなさい・・・私急いでるの・・・」

私はドアの鍵を開けて、中に入ろうとすると彼が凄い力で背中をドアに押し付けた。

「お前も金持ちがいいのか??元カノの樹里も玉の輿に乗ると言って、俺を捨てた」
小森君は瞳をギラつかせ、鋭い眼光で詰った。
小森君は私と元カノ・樹里さんを重ねていた。

「貴方には色々と玲也のコトで世話になったわ。そのコトは感謝してる」

彼が自分に好意を抱き、気を惹く為に玲也の世話を焼いていたコトには気づいていた。
私は彼の好意を逆手にとって、甘えていた。
その自分の甘えが彼に誤解を与えてしまった。
「ゴメンなさい・・・小森君」

「俺は謝罪なんて訊きたくない。
俺は阿川お前がスキなんだ・・・お前だって、俺のコトスキじゃなかったのか?」


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