極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
千紘社長が写真から私へと視線を素早く移動させた。

そんな彼に私は軽く笑顔を作って、さらっと告げる。


「私、その写真でしか母を知らないんです。その写真を撮ってすぐに亡くなってしまったので」


それを聞いた千紘社長がハッとしたような表情で私を見つめる。


「それは、そうだったのか。すまない」

「いえ、大丈夫です」


私に母の記憶はほとんどないので、母の話をされても悲しくなったりはしない。


「それにしても、本当によく似ている。笹崎さんが美人なのは、お母さんから受け継いだのか」


独り言のように呟いた千紘社長の言葉に、私は何も答えず、ただ曖昧に笑った。

母には申し訳ないけれど、私は自分の顔が子供の頃から好きじゃない。

‟可愛いね” ‟美人だね”

そんな言葉を掛けられても少しも嬉しくなかった。その後に続けて言われる言葉はいつも‟もったいない”だったから。
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