極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
私にランチをご馳走してくれるらしいが、彼に奢ってもらう理由が見つからないので戸惑ってしまう。

断ろうと思っていたのに、その隙を与えられないまま勝手にメニューを注文されて、お会計も済んでしまった。


「ありがたくご馳走になります」


壁側にあるテーブルがひとつだけ空いていたので、ふたりで向かい合って座ると、私は天野室長に頭を下げる。


「気にするな。ほら、早く食べろ」

「はい。いただきます」


スプーンを手に取り、三口ほど食べたところでちらっと向かいの天野室長のお皿を見た。すると、すでに半分ほどがなくなっていて、そういえば彼とは何度か一緒に食事をしたけどいつも食べるペースが早かったことを思い出す。


「笹崎にちょっと相談なんだけど」


中華丼の具のひとつであるエビのプリっとした食感に感動していると、不意に天野室長に声を掛けられた。
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