極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
「まだ本決まりじゃないから、これから俺が話す内容は小耳に挟む程度にしておいてもらいたいんだ」

「わかりました」


何やら改まった言い方をされて、私は持っているスプーンをテーブルへと置いた。


「それで、相談とは?」


言葉の続きを促すと、天野室長にしては珍しく言葉を選ぶように慎重に口を開いた。


「笹崎は、大鷹ホールディングスで働く気はないか?」

「えっ」


大鷹ホールディングスといえば、大鷹不動産の親会社だ。なぜ子会社の社員の私が?


「実は、副社長の秘書が再来月から産休に入る。期間は三年。その間の秘書を探していて、笹崎も候補に入っているらしい」

「私がですか⁉」

「ほら、笹崎、英語と中国語が話せるだろ。あと、何語だっけ?」

「ロシア語を少々」


語学は将来就職に役に立つと思って、高校生の頃から特に力を入れて勉強してきた。本当は留学にも憧れたけどお金がなくて諦めた。それでも、英語と中国語は完璧にマスターできたし、ロシア語も日常会話程度なら問題ない。
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