極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
「しゃ、社長⁉ 大丈夫ですか」


どうやら私の開けた扉にぶつかってしまったらしい。

千紘社長は鼻を打ったようで、そこを手でおさえながら「大丈夫」と明るい声で笑っている。けれど、あまり大丈夫ではなさそうだ。ぶつけた鼻がうっすらと赤い。


「それよりも笹崎さん。追加のコピーを頼んでもいいかな」


よく見ると、千紘社長はぶつけた鼻をおさえている手とは反対の手で分厚いファイルを抱えていた。

もしかして、追加のコピーを私に頼むために秘書室まで来たところを、タイミング悪く私の開けた扉にぶつかってしまったのかもしれない。


「すぐにコピーいたします」


私は、千紘社長からファイルを素早く受け取った。


「終わったら、他の資料と一緒に会議室の机に並べておいて。よろしくね」


そう告げて、千紘社長はぶつけた鼻を手でおさえたまま、廊下を足早に進み、社長室へと戻ってしまった。
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