極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
心配でその背中を見つめていると、ふと隣から天野室長の声がした。


「千紘、鼻大丈夫か? けっこう鈍い音したけど、あれは痛いぞー。つか、タイミング悪いな、あいつ」

「まさか扉のすぐ前に社長がいると思わなかったので、私もつい勢いよく扉を押してしまいました」

「まぁ、仕方ないな」


千紘社長は大丈夫と明るく答えていたけれど、あのぶつけ方はとても痛そうだ。その証拠に、鼻が赤くなっていたし、少しだけ腫れてもいた。

気が付かなかったとはいえ、申し訳ないことをしてしまった。

追加のコピーを終えて、会議室のセッティングが終わったら、すぐに社長室へ向かおう。

そして、千紘社長の鼻の様子を確認しないと。大丈夫と言ってはいたが、やっぱり心配だ。

彼の性格を考えると、ぶつけた鼻が痛くても私の前ではそれを我慢していたのだと思う。

あの場で少しでも痛い素振りを見せてしまうと、扉を開けた私が罪悪感を持ってしまう。きっとそう思って、何てことないように笑っていたはず。

千紘社長は、自分よりも他人をまず気遣う。そういう人だから――


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