極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
「笹崎さん……」


すぐ背後に千紘社長の気配を感じて、‟閉ボタン”を押そうとした私の手の上に、大きな手が重なる。

それに驚いて振り返ると、唇にふわっと何かが重なった。

エレベーターの扉がゆっくりと閉まっていくのを横目に見ながら、私の唇に触れているのが千紘社長の唇だとようやく気が付く。


――もしかして、キスをされている?


離れていく千紘社長の唇を見つめながら、私は呆然としてしまう。

すると、今度は身体を引き寄せられ、強く抱き締められた。


「ごめん。嫌なら俺を思いきり突き飛ばして」


耳元で聞こえる千紘社長の声は、どこか余裕がなく苦しそうだ。
< 98 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop