モブ転生のはずが、もふもふチートが開花して 溺愛されて困っています
「……猫?」
「そう。かわいいでしょう? レジス、猫が好きだって言ってたから」
「覚えていてくれたのか。ありがとう。これ、フィーナが描いたのか? 上手だな。それに、オムライスも美味そうだ」
レジスはふっと小さく微笑んで、オムライスの端っこをひとくち食べた。
「……! すごく美味い。驚いた。フィーナは料理が得意なんだな」
「えへへ。うれしい。得意っていうより、趣味なだけだけど」
「謙遜するな。お金をとってもいいレベルだと俺は思うぞ」
ひとりで作ったオムライスを裏メニューとして出すのは初めてだったが、大成功みたいだ。スプーンが止まらないレジスを見て、私までお腹も、そして心も満たされたような気分になる。
「これをほかのやつも食べると思うと、なんだか嫉妬する」
「も、もう。冗談ばっかり」
普通に考えると、レジスは仮にも私に恋愛相談をしている身なのに、こんな思わせぶりなことを言ってくるのはおかしな話だ。でも私は、レジスの好きな相手の正体をわかっているから、そんなの全然気にしていなかった。レジスもレジスで、自分の中では猫の相談をしているだけなので、細かいことまで気が回っていないのかもしれない。
「あの、ここだけの話なんだけど」
「なんだ?」
「レジスのオムライスだけ、実は特別なの」
「特別?」
トレーを抱えたまま近くに立っている私を見上げ、レジスは首を傾げた。
「なにが特別なんだ?」
「それは……内緒ってことにしとく。とにかく特別なの!」
自分からこの話題をふっかけておいて、急に〝ひとりで作ったことが特別〟なんて口にすることに恥じらいを覚える。それにレジスはもともと、裏メニューは私がひとりで作るものだと勘違いしていた。言ったところで、大して特別に感じない気がする。
「……気になるな。いつか教えてくれ。ただ、その特別の意味はきっと、俺にとっては喜ばしいことなんだろうな」
そう言うと、レジスは最後のひとくちを平らげて「ごちそうさま」と手を合わせた。
「遅くに作ってもらって悪かったな」
「こちらこそ、かなり遅い夕食になってごめんなさい」
「本当に美味かった。フィーナの手料理が毎日食べられたらいいのにな」
最高の褒め言葉をもらって、今後も料理に精が入りそうだ。
そのとき、レジス越しにふと購買コーナーが見えて、私はレジスにこんな質問をした。
「じゃあたとえば、購買コーナーに私が作ったものが並んだらレジスは買ってくれる?」
「もちろん。買い占める」
即答するレジスに、私はプッと噴き出してしまった。
レジスが男子棟に行くのを見送り、私は鼻歌まじりで綺麗に完食されたお皿をキッチンまで持っていく。
「そう。かわいいでしょう? レジス、猫が好きだって言ってたから」
「覚えていてくれたのか。ありがとう。これ、フィーナが描いたのか? 上手だな。それに、オムライスも美味そうだ」
レジスはふっと小さく微笑んで、オムライスの端っこをひとくち食べた。
「……! すごく美味い。驚いた。フィーナは料理が得意なんだな」
「えへへ。うれしい。得意っていうより、趣味なだけだけど」
「謙遜するな。お金をとってもいいレベルだと俺は思うぞ」
ひとりで作ったオムライスを裏メニューとして出すのは初めてだったが、大成功みたいだ。スプーンが止まらないレジスを見て、私までお腹も、そして心も満たされたような気分になる。
「これをほかのやつも食べると思うと、なんだか嫉妬する」
「も、もう。冗談ばっかり」
普通に考えると、レジスは仮にも私に恋愛相談をしている身なのに、こんな思わせぶりなことを言ってくるのはおかしな話だ。でも私は、レジスの好きな相手の正体をわかっているから、そんなの全然気にしていなかった。レジスもレジスで、自分の中では猫の相談をしているだけなので、細かいことまで気が回っていないのかもしれない。
「あの、ここだけの話なんだけど」
「なんだ?」
「レジスのオムライスだけ、実は特別なの」
「特別?」
トレーを抱えたまま近くに立っている私を見上げ、レジスは首を傾げた。
「なにが特別なんだ?」
「それは……内緒ってことにしとく。とにかく特別なの!」
自分からこの話題をふっかけておいて、急に〝ひとりで作ったことが特別〟なんて口にすることに恥じらいを覚える。それにレジスはもともと、裏メニューは私がひとりで作るものだと勘違いしていた。言ったところで、大して特別に感じない気がする。
「……気になるな。いつか教えてくれ。ただ、その特別の意味はきっと、俺にとっては喜ばしいことなんだろうな」
そう言うと、レジスは最後のひとくちを平らげて「ごちそうさま」と手を合わせた。
「遅くに作ってもらって悪かったな」
「こちらこそ、かなり遅い夕食になってごめんなさい」
「本当に美味かった。フィーナの手料理が毎日食べられたらいいのにな」
最高の褒め言葉をもらって、今後も料理に精が入りそうだ。
そのとき、レジス越しにふと購買コーナーが見えて、私はレジスにこんな質問をした。
「じゃあたとえば、購買コーナーに私が作ったものが並んだらレジスは買ってくれる?」
「もちろん。買い占める」
即答するレジスに、私はプッと噴き出してしまった。
レジスが男子棟に行くのを見送り、私は鼻歌まじりで綺麗に完食されたお皿をキッチンまで持っていく。