秘密事項:同僚と勢いで結婚した
番外編

ある日の夜


「もーもっ」


はい、始まりました。

『千智の溺愛時間』

お家でお酒を飲むと、いつも以上に、いや、人格が変わるほどに私のことを愛で始める。
今なんて私を背後から抱きしめて離そうとしない。

社員飲み会の時とは比べものにならないほどのデレデレ感に悩まされていた。


「千智、飲み過ぎだよ」

「李〜」


私の注意に無視を決め込む。ぐりぐりと私の肩におでこをすり寄せて幸せそうだ。仕事ができる普段シャキッとしている彼とは大違いな脱力感に、少しだけ笑いそうになった頃。


「…脱いで?」


真面目なトーンで囁かれて、頬がカァッと熱くなる。そんな私に気づいたのか、千智は口角を上げて笑った。

ほんと、つくづく。

私は千智のことが愛しくて堪らない。


「………千智病だ…」

「何その病気」

「相手が好きすぎてしんどい病気」


私の変な発言に彼はクスクスと笑みを溢した。そしてズルズルと私をベッドへと誘導するように進む。


「待っ…お風呂まだだから…」

「じゃあ一緒に入ろ」


耳の後ろにキスをして、それから私の顔を覗き込んでくる。
フフン、と今にも鼻歌を歌い出しそうな表情。断るなんて選択肢はきっと彼が選ばせてくれないだろう。

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