秘密事項:同僚と勢いで結婚した
「んっ!」
湯気が立ち込める浴室に入って真っ先に襲われた。私を逃さまいと後頭部に手を置き、もう片方の手で柔らかく胸の膨らみを揉む。深いキスは次第に激しくなり、アルコールの芳香にクラクラした。
いつもこうやって流されて、最後までしてしまうんだ。
でも、暑い気候に汗ばんだ1日を過ごした今日だけはゆったりとお風呂に入った後にして欲しい。
「………」
だから、かろうじて動かせる左手でシャワーの取手を掴み…。
《シャー》
「ブフッ!」
千智の顔面へ。
「っ…ふふ!」
不意打ちで水が来たから、鼻に水が入ったらしく…
「痛い…」
と拗ねた様子で鼻を摘んでいた。
なんだか申し訳なく思いつつも、止まった猛攻にホッと胸を撫で下ろす。捻くれた彼を慰めるべく、顔を見つめて精一杯元気付けようと声をかけた。
「お風呂上がったら…なんでもしていいから…」
さすがに可哀想だと思った私は、彼の頭に手を乗せてナデナデするも…。
「………もう萎えた。」
「…………え」
予想外の反応と言葉に、『やりすぎた?』と自分の行いを振り返る。
でもおかしい。
千智は優しくて、いつもいつも私が最優先で。
こんな風にムスッとするのはお酒のせい?
「……ごめんね…」
「別にいいよ」
謝った後は普通。本当に萎えたのか気になって、彼の下半身の方に視線を落とそうとすると…。
「……李のエッチ」
「っ…千智に言われたくない…!」
確認を制された。
それと同時に恥ずかしさが猛烈に込み上げてきて、私は顔を逸らし、身を洗い始めた。