秘密事項:同僚と勢いで結婚した

それから食事を終え、帰りの夜道。

星が凄く綺麗な夜だった。


「見て見て!星がすごく綺麗!」


子供みたいに無邪気にはしゃいで、夜空に指差す姿が愛おしいと隣で感じる。


「あっ、夏の大三角形…!」

「どれ?」

「あそこ!」


夜風が頬をかすめる中、葉山が指し示す星座を直視したまま、わからないフリを突き通す。


「ん?何処?」

「もう、あそこだって」


気付いてる。わかってるよ。

それなのに知らないフリをして、ゆっくりと顔を近づけた。


全部を俺のものにしたいから。


ずっと大好きな人だから。


(……幸せにしてあげたい…)


その欲望を叶えるためには、まずは葉山を恋に落とそう。


《ちゅっ…》


動揺する姿が可愛くて仕方がないキスのあと。


このキスひとつで


俺のこと、意識すればいい。


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