君がいたから 2

「えらいよ。自分から手を出してくれて。よしよし。ごめん針刺すね」


「うっっ………グスン 」


結愛の血管は細くてなかなか血が取れないから

針をグリグリ動かさないように気をつける。


針を刺すからもちろん痛くて泣かれる。
でも、無駄な痛みは絶対に与えないように細心の注意を払う。


「採血は終わったよ。後痛み止め打つね 」


「痛いよ、もうやだっ グスン 」

手を動かせないように腕を抑えたまま、注射器を持ちそのまま刺した。


泣き声が聞こえるだけでも、胸にナイフが突き刺されたような気がするのに

無意識のうちに昔やったたくさんの注射の跡まで目に入る。


痛々しい………

しかたないこととはいえ、結愛の腕に傷つけてばかりだ


結愛が頑張った証だから、
嫌なんて思ったことは当然ないし、俺にとってはそんな跡も愛おしい…


でも、たくさん痛い思いさせる上に、消えない跡をつけられた結愛の身になってみると、かわいそうで注射する度、胸が締めつけられるように苦しくなる。


「結愛、よく頑張ったな、
少ししたら痛みを治まるよ 」


「うん、蓮、いつも助けてくれてありがとう 」



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