先生がいてくれるなら①【完】
「ね、お金払わせて貰えなかった、って、デートしたの? だったら、脈ありなんじゃないの?」
「ううん、デートじゃないよ。買い物に付き合って欲しかっただけみたい」
「……ね、それってデートとどう違うの?」
「う、うーん? 分からないけど、本人は違うと思ってるんじゃないかなぁ」
「直接『デートじゃない』って言われたわけじゃないんでしょ?」
「それはそうなんだけど……。私たちは、付き合うとかそう言う関係になるのは難しそうだし……」
美夜ちゃんはまた眉間に皺を寄せて、今度はもっと深刻そうな顔をした。
「明莉、まさか不倫じゃないよね? 不倫だけはダメだよ? あんなの、絶対幸せにはなれないから!」
「違う違う! さすがに私も不倫はイヤだし!」
でも、許されない関係という意味では、あまり大きな差は無い気がする。
先生と生徒だって、十分そうなっちゃいけない関係……だよね──。
まぁ、両思いになれば、の話だけど。
「あー、もうちょっと詳しく聞きたいのに、学校に着いちゃった! 明莉、後でまたじっくり聞かせてもらうからね!」
「あはは。じっくり話せるほど濃い話は無いけどね。朝練頑張って!」
「ありがと、行ってきます!」