先生がいてくれるなら①【完】
今日は文化祭の初日。
クラス毎に発表するステージであるダンスを終えた私は、ダンス衣装のまま、ただいま廊下を爆走中です。
ステージの時間が押したため、私の部活の店番の時間が近づいていて、着替えが間に合わない。
とりあえず鞄に詰めた制服を手に持って、部室へと急ぐ。
部室の入り口には、店番をしてくれている先輩が立っていた。
「先輩っ、すみません! ステージ押しちゃって!」
私は先輩にペコリと頭を下げて謝った。
「あ。まだ着替えてないんだね。着替えてからでも大丈夫だったのに……」
先輩はなぜか私から目を逸らしつつ、そう言った。
「じゃあ、ちょっと着替えて来ても良いですか?」
「うん、いいよ。僕まだここにいるし」
「ありがとうございます。じゃ、ちょっと行ってきます」
部室は先輩にお願いして、私は踵を返す。