先生がいてくれるなら①【完】
少し歩くと、立花がフッと顔を上げた気配を感じ、その表情が見たくて視線を向けると、頬を赤らめて俺の表情を伺うような視線が向けられていた。
ははっ、困ったな。
そんな可愛い顔で見られたら、俺の心臓、ホントに止まりそうだ。
しばらくそのまま歩いていたけど、ふと立花の足下を見て立ち止まった。
「どうかしましたか?」
「濡れた足で乾いた砂浜を歩いたら、足が砂だらけになるだろうなーと思って」
「あぁ……確かに、そうですね」
散歩に出かける間際にユキさんからタオルを渡されていたのを思い出し、どこかで濡れた足を拭いてやるか、と思案する。
サンダルだと砂浜は歩きにくいだろうし、だったらこのまま砂浜へと降りてくる階段まで抱き上げて行けば良いか。