異能者達の宴~夢の競演特別編~
ある日、実験棟の清掃を命じられた素体の一人が、青ざめた顔をして帰って来た。

何があったのか問いただすと、彼はこう言った。

「A級実験棟に化け物がいた」と。

…それが、あの連れて行かれた少年の成れの果てだと知る事になるのは、随分後になってからだった。

噂に聞いた話では、あの少年は何十種類もの薬品を投与され、特殊な手術を施されて遺伝子組み換えまでされて、その肉体は人間のものですらなくなってしまったのだという。

普段は少年の姿だけど、任務実行時には異形を為し、常軌を逸した力で任務の障害となる者を次々と抹殺する。

その力は、超能力を発現した覚醒者すらも大きく上回る。

その為彼は、覚醒者を越える存在…『異形者』と呼ばれた。

…しかし、そのA級実験棟での悪魔の実験に耐え抜き、異形者となる事ができたのはたった一人だけ。

大抵の素体はあまりの過酷な実験に耐え切れず、精神を、肉体を崩壊させて廃棄処分となってしまった。


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