異能者達の宴~夢の競演特別編~
それでも。

「哲平!」

俺はもう一度、かつてのクラスメイトの背中に声をかけた。

…一瞬、哲平は立ち止まる。

「帰ってくるんだろ!?」

俺は言う。

「全部決着がついたら、また御影市に…俺達のとこに帰ってくるんだろ!?」

「……」

哲平は黙っている。

…突然行方をくらまし、常軌を逸した能力を手に入れ、運命を狂わされた者達。

『どの面下げて戻ればいいんだ?』

哲平の背中が、そう語っていた。

しかし。

「『記憶操作』とか『忘却』とかいう魔術があってね」

突然。

メグが独り言のように呟き始めた。

「都合の悪い事は全部帳消しにする事ができるの。魔術って便利よね」

「……」

かすかに。

哲平が笑みを浮かべる気配があった。

そのまま。

彼らは雑木林を出て行く。





約束はしてない。

だけど、いずれ帰ってくる事を信じて…。


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