俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
何年も前の話じゃねえか。
何でそんな話を急に始める?さすが酔っ払い、突発的だな。
けど、なずなの話で冷やかされるよりマシだから、犬が天に召された時の話には乗ることにした。
『耳の先っぽがピンク色だから、ピンクって名前のチワワなんだけどさ』
『はぁ…』
…それは、三年とちょっと前のお話。
竜堂家には名前がピンクというチワワを飼っていたそうだ。
二番目の姉が知り合いから貰ってきた犬だったらしいが、三人いる姉らは揃って犬の世話はせず。
末っ子である竜堂が、ほぼ世話をしていたらしい。
そのせいか、犬のピンクも彼を飼い主だと思い、懐いていたそうだ。
…しかし、そのピンクが死んだ。
『…調子悪そうだなと思ってどうぶつ病院連れてったら、全身ガンで余命幾ばくも無い状態だったんだよ』
それから、病気が発覚し弱っていく中で、献身的に介護をしていたらしい。
幼なじみである竜堂の彼女も、ピンクを心配してはお世話をしていた。
そして、その一ヶ月後。
ピンクは静かにその生を遂げた。
素直で涙脆い彼女は、その死を悲しんで特に泣いていたという。