俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
俺の思わずの呟きに、兄貴は敏感に反応した。
俺より前に乗り出して、辺りを見回している。
麗華さんに関しては、反応ハンパねえな。
赤くて人目を引く色のドレスを着ているから、すぐわかる。
やはり、麗華さんだ。
一人で歩いて…いや、ちょっと駆け足?
急いでるようだ。
その姿に、少し違和感を覚える。
「麗華さん、何で一人でいるんだ?」
…麗華さんは、今夜の主役みたいなもんだし。
パーティーの運営でいろいろ忙しいはず。
さっきも御付きの者がくっついて離れなかったのに。
何で一人でいるんだ?
抜け出してきたのか?
そんな麗華さんは、一人駆け足でエレベーターの方へと足を進めているようだった。
「麗華?どこ行くんだろ」
…兄貴も不自然に感じたようだ。
エレベーターの傍にあるカフェにいる俺達に気付く様子もなく。
麗華さんは、エレベーターの前で立ち止まる。
真っ先に上のボタンを押し、見上げながらその到着を待っているようだ。
エレベーターで何処かに行く…?