俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


まさに空中戦、ともいえるその戦いの模様を地上から見上げる。

拳や蹴りの激しい乱打に翻弄されるように、ただ防戦一方の彼。

そして…飛ぶ術を持たない竜堂が、空中でも戦えるように、大胆不敵に次々と出て来るアクリル板の足場。

役目を終えると速やかに消え、また登場する。



さっきから見てるんだけど、本当にピンポイントで良い場所に現れるんだよ、あのアクリル板。

着地点に正確に出現するだけではなく、攻撃の際の踏み切り時にもさりげなく出現する。

まるで、竜堂が次何をするか、予測して動きをわかってるみたいだ。



出処は、どこなんだ…?



(………)



俺の横に立って、俺同様に地上からその戦いを見上げているその一人に、ふと視線をやる。

眼鏡を外したままの川越さんは、スラックスのポケットに手を入れたまま、空中の二人を眺めていた。

のほほんと観戦しているように見えるが、二人の動きを凝視して、隈なく目で追っていることに気付く。



ひょっとして、あのアクリル板は。

この人が…?

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