俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~


「眼鏡外してますけど、見えるんですか…?」



おもむろに、思わず口にしてしまう。

川越さんはこっちに顔を向けることなく「うん」と答えた。



「これ、オシャレ眼鏡なんだ。俺自身は視力良いよ?」



じゃあ何故、今外したのか?

…だなんて、聞く空気じゃないよな。

そう思って「はぁ…」と相槌のみ返す。

すると、「ふふっ」と笑い声が聞こえた。



「…結界って、便利ツールだよね。身を護る盾の役割だけじゃない。形を成して押し付ければ立派な武器だし、ああやって空中に浮かべさせれば、足場にもなる…翼が生えたみたいにね?」



顔を覗き込めば、笑い声を漏らしたその表情にゾッとさせられる。

涼しい表情をしてるのかと思いきや、悪人顔負けの不敵な笑みだ。



「…さあ、次のアクションを起こして貰おうか?」




上空では、翼をバサバサとはためかす音がする。

大きく翼を動かして、そこから抜け出すように竜堂から距離を取る彼の姿があった。

顔が傷だらけでボロボロだ。


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