俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
親父から聞いた話とは相違がある、と思う。
綾小路室長の話では、おじさんは『二人』を庇った。
親父と、なずな…だろ?
なのに…。
「何で…何で、父は『自分のせい』って言ったんでしょうか…」
親父の言い方は、あたかもボディガードという職務を全うしたがための結果、という印象だった。
…いや、そうなのかもしれない。
でも、この話を聞くと、幾分かの疑問が生じるわけで。
なずなのことは一言も出てこなかったぞ…?
何で…?
「まあ…あの状況では『橘社長もしくはなずなを狙ったリグ・ヴェーダの攻撃を、優さんが盾になって受けた』。ボディガードが自分を護ったんだ。橘社長がそう思うのは自然。でも」
「…でも?」
「…正直ね。リグ・ヴェーダが狙ったのは、橘社長でもなずなでもないと思う」
「えっ…」
「リグ・ヴェーダが狙ったのは、優さん。だと俺と剣軌くんは思ってる」
「それは…何故ですか?」
「だって、リグ・ヴェーダが橘社長となずなを狙う理由なんてないから。…むしろ、彼が邪魔に思っていたのは、優さん。『神童』っていう、自分に仇なす力を持っている…優さん」