俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

艶々とした漆黒の翼が背中から生えた、細いフォルムの青年が、その翼をバタバタをはためかせて目の前に舞い降りる。

不気味な笑みをこっちに向けながら。



橘社長は初対面なので『…誰だ?』と、傍で呟いていたが。

私は…知っている。



この男…先月、半人半魔の契約が行われていた現場に親父や剣軌、警察と踏み込んだ時に、奥の方にいた。

親父の『相殺』によって、人間へと戻される仲間を助けずに一目散に逃げていった男だけど。



『…我が名は、リグ・ヴェーダ』



そう名乗る彼の手には、細かくて黒い羽毛が無数に。

風に乗って、バサバサと渦巻いている。



…何故、こんなところで急に?!

一般人、橘社長もいるのに、結界も張らず!



突然訪れた臨戦態勢に、緊張が走る。



『なずなっ…!』

『しゃちょー、下がって!』



何が狙いかはわからない。

だけど、私の傍にいる社長だけは護らなければならない。

例え、私がまだ経験値の足りない新米陰陽師であろうと。



…どうする?

まずはヤツを結界に引き込んで…。


< 426 / 528 >

この作品をシェア

pagetop