俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
…でも、この男を結界に引き込む技術が私にはあるだろうか?
じゃあ?
だなんて、戦術を模索している間にも。
無言で薄ら笑いを浮かべたままの、黒い翼の男は、その手を翳す。
『…【黒嵐】…』
ほんの少しの判断が遅れた。
『…妖の荒ぶる攻を隔てよ!…急急如律令!結界・盾!』
(…あっ!)
繰り出された技のスピードが思ったよりも早く、魔力の濃さも威力も予測以上だった。
ほんの僅かな差で出遅れた中途半端な結界は、黒い羽毛の嵐にいとも簡単に壊される。
その威力に押され、下がった橘社長の傍まで吹っ飛ばされて転がされた。
『なずな!大丈夫か!』
『痛っ…しゃちょー!来ちゃダメ!』
制止したにも関わらず、負傷した私のもとへ橘社長が駆け寄ってくる。
痛みに悶えて寝転がっている場合じゃない。
早く立ち上がって応戦しなければ。
…けど、時間は待ってくれない。
『…【無限の夢】…』
目の前にはすでに、ヤツの放った技である渦巻いた黒いモヤが迫っていた。
(ああぁぁっ…)