俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
看護師さんや面会者が行き交う、病棟の廊下の真ん中に。
毛がもしゃもしゃの小さな物体が、いる。
わんわんっ。わんわんわんっ。
人間様の廊下を、堂々と練り歩いている。
毛足の長い茶色い毛を靡かせている、お座敷犬…!
…ええ、忘れもしません。
がっつりと肩を噛まれたからな?
あれは、なずなの式神。
畜生のヨーテリ…!
ちんちゃこいお座敷犬相手に、一気に警戒態勢に入って身構えてしまう。
…あのクソお座敷犬、俺のことをなずなを狙う輩と認識して敵視しているからな?
いや、そうなんですけど。
しかし、動物絶対厳禁なはずの病院に、なぜお座敷犬のヨーテリが堂々と練り歩いているのか?
周りにいる人々が気に留めてないところを見ると…他の人にはヨーテリの姿は見えてないのか?
他の人には見えてないのに、俺には見えている。不思議…。
その場に留まって、ヨーテリの様子をしばらく見守る。
…発見された暁には、俺は噛みちぎられるであろう。
恐っ!