記憶シュレッダー
「なんで!? あたしはなにもしてない! なにもしてないよね!?」


それは、シュレッダーへ向けた言葉だった。


「だって消したもん! 嫌な記憶は全部消したもん!!」


叫んでも誰も答えてくれない。


次第にあたしはおかしくなってきた。


「あはっ……あははははははは!」


なにもかもおしまいだ。


あたしはすべてを思い出してしまった。


だからおしまいだ!!


玄関を出ると、近所のヤジ馬どもが道路へ出てきていた。


あたしはそれでも大声で笑い続ける。
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