釘とパズル
兄妹は怯えた目をして死体に隠れる。
見つかれば即死、スリルたっぷりのかくれんぼだ。
興奮して体中の血液が沸騰する。
見つかったらどんな死に方をするんだろうか?バカだな、そんな所に隠れたら逃げ場なんてないじゃないか。
しかし誰もが殺し合いに夢中になり兄妹に気が付かずに時が過ぎる。
早く兄妹に気がつけよ。どんな表情で死ぬのか、どんな殺され方をするのか早く見たいんだから。
殺し合いの集団は群れながら兄妹から徐々に遠ざかっていく。
兄妹の顔から徐々に恐怖が消える。
このままだと兄妹は助かるじゃないか、まぁ仕方がないか。
「そこにガキが隠れてるんだよ!気がつけよクズ共!」
私は、ありったけの大声で叫んだ。
その声に気がついた集団は兄妹に近づく。
兄妹と目が合う。なんて目で私を見てるんだ。
恐怖と絶望という名前の美しい目だった。やがて人殺しの集団が兄妹を襲う。
「やだ!やだ!やだ!」
「お兄ちゃん!怖いよ!」
「助けて!助けて!死にたくないよ!」
兄妹は泣き叫ぶ。
「アハハハハ」
笑いが止まらない。
数分後、兄妹は壊れた人形の様にイビツな形をして動かなくなっていた。
なんて素晴らしい世界なんだ。
間違いなくここに平和が生まれる。
究極の世界平和が誕生する、私が最初の神だ。

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