独占欲強めな外科医は契約結婚を所望する

 チャペルに移動し、緊張気味の父とともにバージンロードを歩いて、純也のもとへ。

 父から私を託された彼と祭壇の前に立ち、賛美歌を歌って、神様に祈りをささげた。

「病めるときも、健やかなるときも、愛を持って互いに支え合うことを誓いますか?」
「誓います」

 牧師からの問いかけに、凛とした声で答えた純也。次は自分だと背筋を伸ばし、続けて同じ言葉が投げかけられると、自信を持って「誓います」と答えた。

 指輪を交換し、純也が私のベールをゆっくりとあげる。私は神聖な気持ちで目を閉じ、誓いのキスを受け止めた。

 参列者の拍手を受けながら退場する際、父と祖父がそれぞれ手に抱える母と祖母の遺影が見え、思わず涙がこみ上げた。

「見てて……くれたかな」
「きっと見てたよ。愛花がこんなきれいな花嫁になったこと、空の上で喜んでる」
「うん……」

 堪えても堪えてもあふれてくる涙をハンカチで押さえつつ、私は純也と寄り添い、家族や同僚みんなからの祝福を受け、幸せをかみしめた。

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