背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 その日の夜だ。
 変な流れがやってきたのは……


 ピンポーン
 インターホンが鳴る。

 誰だろうか?


 ドアを開けると、そこには見慣れた顔が並んでいた。

「悠麻、差し入れ持ってきたわ」

 母の後ろに、段ボール箱を抱えた父が立っている。


「なんだよいきなり」

 母は、自分の家のようにズカズカと中に入ってきた。


「相変わらず、綺麗にしているわね。本当にここで生活しているの?」

 後ろから付いてきた父が、キッチンカウンターの上に段ボールをドサッと置いた。


「なんだよ、その荷物は?」


「市場へ行って来たのよ。たまには、いいじゃない」


「はあ?」


 今まで一度も、俺のマンションで食事などしたことがない。
 また、何か企んでいる気がする。


 疲れたと、ソファーに座り込む両親をじっと睨む。


「なに、そんな顔してるのよ。見合いの事ならもういいわよ」

「えっ?」


「また、いいお相手探すから」

「どういう事だ?」


「だって、あなたにその気がないんでしょ?」

「まあ……」


 そうか……
 彼女が正式に見合いを断ってきたって事なのだろう……
 なんだ、この落ち込みは……


 俺もソファーに座り、窓から見える風景を見つめた…

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