背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
生活の色…… 悠麻
 どうすりゃいいんだ……

 ベッドの上に、無謀な姿でスヤスヤ眠っている彼女に目を向けたまま動けずにいる。


 またもや両親達の罠にはまり、彼女は俺のマンションに置き去りにされた。

 正直、このまま襲ってしまおうかと思わなかったわけじゃない。
 だけど、何かが俺の中で変わろうとしているのだろうか?
 彼女に触れてはいけない気がした。
 あれだけ、彼女に触れまくっておいて、今更とは分かっているが……


 結局、ホテルに行くと言う彼女を、何だかんだと理由をつけて俺は引き止めていた。

 このマンションに姉ちゃん意外の女を入れた事などなかった。とにかく、生活が乱れる苛立ちを、姉ちゃんで痛いほど知った。
 女なんて、そんなものだと思っていた。


 ソファーの上に広がった洗濯物が目に入る。
 洗濯物があれば畳むのは当たり前の事だ。

 皺を伸ばしながら、畳んでいく。スカートはハンガーにかけた方がいいな。それとなく手にしたのは、水色のレースの着いた下着だった。


「ぎゃあーー。そ、そんなの畳まなくていいわよ! そのままにしておいて、後で自分で畳むから……」


 彼女の悲鳴に近い叫び声が聞こえた。
 そのままにしとけと言われ、手放すのも意識しすぎている気がする。



「ついでだからいいよ。皺になるし、洗濯物が散らかっているのが気になるんだよな」


 もちろん、心臓はバコバコ音を立てている。
 よからぬ想像をしている事がバレないよう、スムーズに手先を動かした。
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