背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
タイムアップ……美月

 やっぱり、この部屋のお風呂は最高だと思う。
 ジャグジーの泡に、体をほぐしながらまったり浸かる。

 今夜は何処で寝ようか?

 ベッドで寝たら、なんだか全てを許してしまっているような。もしくは、誘っているようにさえ思われてしまうのではないだろうか?
 かといってソファーで寝たら、変に意識しているように思われてしまうのではないだろうか?

 どうしたら……

 きちんと話し合って、どちらかがソファーで寝ることにするのはどうか?



 そう思った時だ、バスルームのドアが、ガタっと音を立てて揺れた。

 えっ?


 ドアが開いたそこには、彼が立っていた。
 素っ裸で……


「ちょ、ちょっと! 私、入ってますけど! そんな恰好で何しているんですか!」


 私は声を上げて、湯舟の中で自分の胸を両手でギュッと隠した。


「そんな恰好って? 風呂だから裸が当たり前だろ? 俺だって、風呂に入りたい」


「だからって、今、じゃなくてもいいでしょ!」


「いいだろ? いつ入ろうが俺の自由だ……」


 サッとシャワーを浴びた彼は、湯舟に足を入れた。


「そんな分け無いでしょ!」

 
 彼に背を向け、湯舟の隅で両足を抱えるように座った。


「そんな隅に居なくても…… 体、洗ってやろうか?」


「バカじゃないの! 変態!」


 なんなの、この男!

 湯舟から出たら、体は丸見えだ。
 だが、このまま、ここに居たら、何されるか分からない。意を決して立ち上がったが、すぐに腕を引っ張られ、湯舟に戻されてしまった。
 
 バランスを崩した体は、彼の足の間にすっぽりとはまってしまった。


「ぎゃああああぁぁ」


 醜い悲鳴を上げても、この状況は変わらなかった。
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