しかくかんけい!


「手、貸して」

「ど、どうしたの急に…」

「あたためてあげる」


そう宣言した君は間髪入れずにぱし、と私の手をふたつまるごと掴んだ。

大きな片手で、包み込んだ、けれど。



「ふふっ、変なの」

「へん?」


思わず笑っちゃうよ。

だって、だって。



「しょーくんの手、冷たいくせに」


ひやり、と、冷たさが伝わった。



「あー……たしかに」


ふっ、と君も笑った。

笑って、あっけなく手を離して。


離して、じゃあ、と言って。


そうしてすぐに、ぎゅっと。




「っ!」




ぎゅっと。





「これならあったかいでしょ」





ぎゅっと、抱き寄せる。




どくん、と、心臓が跳ねた。





すると、スピーカーからプツ、トントン、と音がして、穏やかなBGMが流れる。


──新年まで、15秒前でーす!会場のみなさん、心の準備は整ってますか〜?──


明るい女性の声がアナウンスした。



私の左胸の爆音をごまかすにはちょうどよかった。



──じゅー!きゅー!はーち!なーな!──



アナウンスに合わせて観客たちは声をそろえる。





< 505 / 525 >

この作品をシェア

pagetop