しかくかんけい!

「きゃっ」


わしゃっと私の頭を何かが掴んだ。


暗闇でよく見えず、一瞬何が起こったのかわからなかった。


頭を撫でるのは、

しょーくんの手だと、

気がつく。


「ったく、そんなんじゃ出来るもんも出来なくなる」


そう言ってしょーくんの陰が動いたと思ったら、肩に存在を感じる。



「お前の音は綺麗だ」

「っ、」



ゾクッとした。

耳元に、生温かい息。

ふわりと後頭部をさする、大きな手。



「俺が保証する」


その優しいささやき声は、私の中にある不安の塊を溶かしてゆく。


「ほ、保証って……」

「うん。ハナだけ、“とくべつ”に」

「とく、べつ……」


パチパチパチ…と拍手の音が反響した。

それを合図に、彼の体温が離れる。

頭をぽんっと軽く叩く。


「大丈夫。自信持って演奏しろ」


小声で、だけど力強く、そう言った。


私の中で、何かが弾けたような感覚がした。


「うん!」


大きく頷いたとき、私の名前がアナウンスされる。


まだ残っている君のぬくもりと共に、

胸を張って、舞台へ。





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